出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3419376
BNPLは日本ではあまりなじみがありませんが、世界的に勢いが伸びている決済サービスの一種です。これからの発展に注目が集まっています。
BNPLとはどんな決済サービスなのか、普段から利用していないとわからないものです。
今回はBNPLについて詳しく知りたい方のために、仕組みやサービスを扱う国内外の会社、BNPLの今後に関して詳しく解説していきます。
世界で注目されているBNPL決済とは?
出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/22506013
BNPL決済はいわゆる「後払い」
欧米の若い世代を中心に、世界レベルで注目されているのがBNPL決済です。「Buy Now Pay Later」のそれぞれの頭文字を取った言葉となっています。
BNPLは、いわゆる「後払い」が行える決済サービスです。購入した商品を受け取った後に代金を支払うシステムで、オンラインショッピングを中心に利用されています。
BNPL決済が支持されている理由
若者を中心にBNPL決済が支持されている理由は、利用のしやすさが挙げられます。
クレジットカードとは異なり年収などの審査がなく、ECサイトでの購買データなどの活用により与信を行うため、クレジットカードを持たない若者でも利用しやすいのです。
その他にも支持される理由は、次の通り。
- 電話番号やメールアドレスなどの情報を入力するだけで決済できる
- サービスによっては分割払いが可能
- 分割払いの手数料が無料なサービスもある
消費者側からすると、スムーズな購入や手数料無料の分割払いにより買いやすくなるのがメリット。
小売店側には次のようなメリットが挙げられます。
- 商機を見逃さない
- 若者を取り込む
- 客単価も上がる
BNPLの仕組みについて
BNPL決済でやり取りが生じるのは、以下の三者。
- 消費者のユーザー
- ECサイトなどの小売店
- BNPL事業者
BNPLの仕組みは次の通りです。
- ユーザーが商品をBNPL決済で購入する
- 小売店がユーザーの信用調査をBNPL事業者に依頼
- BNPL事業者がユーザーの与信審査を行う
- 問題がなければBNPL事業者は小売店に販売を承認
- 小売店が商品をユーザーに発送
- BNPL事業者はユーザーが購入した金額を立て替え、小売店に支払う
- 小売店がBNPL事業者に手数料を支払う
- BNPL事業者がユーザーに対して商品代金を請求
- 商品を確認したユーザーがBNPL事業者に代金を支払う
BNPLの世界的企業(プレーヤー)は?
新たな決済手段として世界的に広がりを見せる、BNPL決済。その世界的企業(プレーヤー)を3社ご紹介します。
スウェーデンのKlarna(クラーナ)
2005年に設立したKlarna(クラーナ)は、スウェーデン発の決済サービス。メールアドレスと郵便番号だけで決済が可能です。利用者は9,000万人以上おり、ソフトバンク・ビジョン・ファンドも約700億円出資しました。
アメリカのAffirm(アファーム)
2012年にアメリカで設立したAffirm(アファーム)は、約870万人が利用しています。250ドル未満なら無利息で分割払いが可能なスプリットベイをはじめ、多彩な支払い方法が選べるのが特徴です。
Affirm(アファーム)は、アメリカのアマゾン・ドット・コムとも提携した決済サービスとして関心を集めています。
オーストラリアのafterpay(アフターペイ)
2014年に設立したafterpay(アフターペイ)はアメリカや中国にサービスを展開しています。1,600万人以上が利用している決済サービスです。
afterpay(アフターペイ)は支払いを4回に分割可能。支払いが遅れた際の遅延料は発生するものの、分割払い自体に利息はありません。
2021年8月に、アメリカの決済大手スクエアが買収することが発表されました。
日本トレンドリサーチ・ネット通販に関するBNPL調査結果
欧米の若い世代を中心に利用されている、BNPL決済。
日本においての知名度や利用具合に関して、具体的な数字を日本トレンドリサーチが行ったネット通販に関するBNPL調査を元にまとめてみました。
ネット通販をする時の主な支払方法
引用:【BNPL】72.2%が、後払い決済サービス(BNPL)を「知らない」
ネット通販を使用する際、主な支払い方法で選ばれたのはダントツでクレジットカード。82%と圧倒的な多さでした。
BNPL決済こと後払い決済は、わずか0.8%。世界的に注目を集めているものの、日本においてはまだまだ利用される方は少ないようです。
後払い決済サービス(BNPL)を知っていますか?
引用:【BNPL】72.2%が、後払い決済サービス(BNPL)を「知らない」
後払い決済(BNPL)自体を知っているのか尋ねたところ、知っていると答えたのは27.8%の方々。BNPL決済は、日本においてはまだまだ浸透していないといえます。
後払い決済(BNPL)を知っていると答えた27.8%の方々に、「実際にサービスを利用した経験があるか」と尋ねた結果が下記です。
引用:【BNPL】72.2%が、後払い決済サービス(BNPL)を「知らない」
後払い決済(BNPL)を実際に使用したことがあるのは、46.0%。54.0%の方々は後払い決済を知っていても「実際には使っていない」という回答が出ました。
今後、後払い決済サービス(BNPL)を使いたいと思いますか?
後払い決済(BNPL)を知っていると答えた方に、「今後、後払い決済サービスを使うか」と尋ねた結果が下記となります。
引用:【BNPL】72.2%が、後払い決済サービス(BNPL)を「知らない」
47.1%の方々が「思う」と答えましたが、半数以上の52.9%の方々は使いたいと思わないという回答となりました。
BNPLサービスを使いたいと思う意見
BNPLサービスを使いたいと思う方々のポジティブな意見をまとめたものが、こちらです。
- クレジットカードはあまり使いたくない
- お金がない時に使いやすい
- 分割払いでも手数料がかからないのがいい
- そもそもクレジットカードを持っていない
- 自身のクレジットカード情報を提供することに抵抗がある
など。
BNPLサービスを使いたくないと思う意見
反対に、BNPLサービスを使いたくないという意見をまとめたものが下記となります。
- 現金で一括払いがしたい
- 支払いを忘れそうになる
- クレジットカードのポイントを貯めているから
- 借金をしているような気分になる
- 後払い自体に不安を覚える
- どの商品を後払いしたのか忘れそう
など。
日本発のBNPL企業やサービスはある?
日本において知名度も利用度も低いBNPL決済ですが、実は日本発の企業やサービスがあります。
日本発のBNPL企業を「3社」、日本発のサービスを「2つ」ご紹介します。
Paidy(ペイディ)
2008年に設立したPaidy(ペイディ)は、メールアドレスと電話番号だけで買い物が可能。分割払い手数料が無料の「3回後払い」が利用できる決済サービスです。
700万人以上のユーザーが利用しています。
Net Protections(ネットプロテクションズ)
2000年に設立したNet Protections(ネットプロテクションズ)は、日本国内におけるBNPL決済のパイオニアです。
通販向けのBtoCサービスであるNP後払いは、注文後に自宅に送られて来た請求書を発行から14日内に支払うサービス。1,580万人以上が利用しています。
Net Protections(ネットプロテクションズ)はBtoB向けのNP掛け払いなど、多彩なBNPL決済サービスを展開しているのも特徴です。
GMOペイメントサービス
2013年に設立したGMOペイメントサービスは、独自の「GMO後払い」を実施。商品を受け取ってから請求書にて、コンビニや銀行、QRコード決済を利用して料金を支払います。
日本発のBNPL型サービスは?
ZOZOTOWNのツケ払い
引用:ZOZO TOWN 公式ホームページ
ファッションの通販サイトZOZOTOWNでは、ツケ払いを決済方法として選べます。
ZOZOTOWNが利用できるツケ払いのシステムは次の通り。
- 支払いは2カ月以内なら好きなタイミングで行える
- 10万円まで利用可能
代金の請求などは、GMOペイメントサービスが実施します。
メルペイスマート払い
引用:メルカリ公式ホームページ
フリマアプリであるメルカリを使ったBNPL決済サービスが、メルペイスマート払いです。
購入代金は翌月にまとめて、決済が可能。メルカリでの利用実績を用いて、AIが与信を判断します。メルカリ上だけでなくネットショップや実店舗など、幅広い場面で利用できる決済サービスです。
BNPLの将来的可能性について
新たな決済方法として注目を集めているBNPL決済は、将来的に拡大されていく可能性があると予測されます。
その理由は2点。EC決済サービスの拡大とEC市場の拡大により、BNPL決済は成長していくと考えられるからです。
なぜEC決済サービスとEC市場の拡大が予想されるのか、詳しく掘り下げていきます。
理由1:EC決済サービスの拡大
グラフ:EC決済サービス市場規模推移と予測
株式会社矢野経済研究所が実施した「EC決済サービス市場に関する調査」によると、コロナ禍によりEC事業に乗り出す企業が増えており、さまざまな企業がEC決済サービスを導入しているのが現状です。
各決済代行業者の取扱高が年々増えていく中、EC市場の拡大に加えてBtoBの決済サービスも進んでいるのも業界としては追い風。今後EC決済サービスを提供する企業は、対面取引などさまざまな決済サービスに力を入れ、市場は拡大していくと考えられています。
以上の事から、今後もEC決済サービスの市場は右肩上がりに増えていくと予測されているのです。
理由2:EC市場の拡大も影響
コロナ禍におけるオンライン決済は、巣ごもり需要により物販やデジタルコンテンツ(動画や電子書籍、ゲームなど)の取扱高が増えてきました。
さらにコロナ禍において、EC市場に進出する事業者も増加。食べ物のデリバリーサービスやオンライン診療といったさまざまな事業がEC市場に進出することで、決済サービスの利用は増えています。
株式会社矢野経済研究所の「EC決済サービス市場に関する調査」において、後払い決済サービス市場規模推移と予測をグラフにあらわしたものがこちらです。
グラフ:後払い決済サービス市場規模推移と予測
BtoCにおける後払い決済サービスの市場は、2016年度から2019年度において着実に増加しており、今後も増えていくと予測されています。
BNPL決済を使う層や使う場面が増えてきている
EC決済サービスが拡大する中、決済手段はクレジットカードだけでなくBNPL決済の利用も広がりを見せています。
具体例は次の通り。
- 若者
- 主婦
- シニア
クレジットカードを持たない上記の層を中心に、BNPL決済は利用されています。
また、普段はクレジットカードを利用していても、いつもとは異なるECサイトで購入する際はBNPL決済を利用する方もいるのが現状です。
コロナ以前は代引きを行っていたものの、接触を避けるためにBNPL決済にシフトするケースもあるため、BNPL決済が利用される場面は少しずつ増えています。
BNPL決済はクレジットカードから完全に変わるとは言い切れません。ですが、EC決済サービスの拡大とECサイト市場の拡大に伴い、さまざま背景からBNPL決済を利用する方も増えていくと考えられるでしょう。
BNPL決済は決済方法の一つとして、将来的に成長していく可能性があると見込まれます。
まとめ
今回はBNPL決済について詳しく解説しました。
- クレジットカードよりも少ない手間で商品が買える
- クレジットカードを持っていない層もECサイトで買い物ができる
上記のようなメリットを持つBNPL決済は、ECサイトの市場やEC決済サービスの拡大とともに増えていくと考えられます。
ユーザー目線では決済サービスの選択肢が増え、買い物がよりスムーズに楽しめるようになるでしょう。小売店目線では今まで逃してきた商機を得たり、クレジットカードを持っていない層へのアプローチができたりと、チャンスが増えると考えられます。
国内外で注目を集め、今もなお成長しているBNPL決済に今後も目が離せません。
キャッシュレス事務局